「大人の言うことは絶対聞くな」中学教員を11年しながら、歌舞伎俳優を10年勤めた異色の元教員が伝える人生の切り拓き方

「なんで言うこと聞かないんだ」

「つべこべ言わず、(大人の)言うことを聞きなさい」

「大人になればわかるから、今は言われた通りにしていなさい」

こういった言葉が子供の可能性を殺している。
なぜなら、その発言をした大人の常識の範囲にしか子供が成長しないからだ。

約20年前の2000年は携帯電話にカメラの機能すらなかった。iPhoneができたのも2007年と、今からたった14年前である。さらに、今や携帯一つで買い物や健康管理ができる。

20年前、誰がこのことを想像できたであろうか。

このように私たちは、変化が著しい時代の中に生きている。
そんな時代だからこそ、子どもは大人の常識では測りしれない経験をしていく。

大人の言うことを聞かなくていいなら、どうすればいいのか?
どのようにして、自分の人生を切り拓いていったらいいのか?

今回は、11年間教鞭を振るってきた元中学校教員の信田雄一郎さんに『大人の言うことなんて聞くな』というテーマで、学生時代に身につけた方が良い考え方についてお伺いしてきた。

今回のゲスト:
信田 雄一郎(のぶた ゆういちろう)
1987年、愛知県豊田市生まれ。 2009年に同志社大学を卒業後、地元の公立中学に数学教師として赴任。新任時には研究指定校で「学び合い教育」の研究と実践を積んだ。退職後、2020年より現職。 他にも陸上競技メディア運営、人生道場セミナー講師、教育イベントプロデュースなど多岐にわたり活動中。歌舞伎役者歴10年の過去も。 現在は、ピープルデザイン研究所主催 文科省共催「超福祉の学校」のトリセツプロジェクトや、メンタルコーチを務める。

<聞き手=岡内大晟>

岡内

信田さん、本日はよろしくお願いします。

それにしても、面白いご経歴ですよね!
教師に、歌舞伎俳優に、メディアの運営に、*文科省共催プロジェクトリーダーって「どういうこと!!」ってなっています笑

(*文科省共催プロジェクトリーダー=ピープルデザイン研究所主催 文科省共催「超福祉の学校」のトリセツプロジェクト)

信田

よろしくお願いします。

そうですね、面白いと思ったことにはチャレンジしていきたい性分なので
中学数学教師を11年間 、歌舞伎役者を10年間 、その後は速読スクールの立ち上げ や、メディア運営、教育イベントプロデューサーなどをしてきました。

今は、トリセツプロジェクトで教育系のプログラム開発を進めています。

岡内

異色のキャリアですね!
どうしてそんなにたくさんのことをやられているんですか??

信田

自分自身がやりたいって思ったことには制限をかけずにチャレンジするようにしていることが一番です。

あとは、生徒に「やりたいことやれよ〜!」って言っているんですが、それを言っている自分がやりたいことやっていないとカッコつかないですよね。

なので、生徒に「やりたいことやれよ〜!」って言いながら自分自身にも言い聞かせています。

歌舞伎俳優時代の信田さん
岡内

なるほど。とはいえ、すごいご経歴です。

今回は、『大人の言うことなんて聞くな』っていうテーマでお話を伺いたいのですが、大人の言うことって聞かなくていいんですか??

信田

はい、大人の言うことなんて聞かなくていいですね。

というのも、
大人が言っていることは、過去2.30年の経験から言っていると思うんです。

でも今を生きているのは、子ども自身じゃないですか?
なので、(大人の意見ではなく)自分の思いや考えを主張していってほしいと思いますね。

岡内

大人の言うことを「はい、わかりました」と鵜呑みにするのではなく、自分の意見を大切にしてほしいってことですよね。

ちなみに信田さん自身は、(学生時代)どんな生徒だったんですか??

信田

そうですね。
もともと、我が道をいくタイプではあったかもしれません笑

当時は尾崎豊にどハマりしていたこともあり、社会とか大人に対して「綺麗事言ってんじゃね〜!」ってもんもんとしていましたね。

岡内

(今の信田さんの雰囲気からは想像できない…)

今の信田さんの「大人の言うことを聞くだけでなく自分で考えろ」といった、教育方針にたどり着いたきっかけってなんだったんですか?

信田

中学生の頃の顧問の先生との出会いが、きっかけになっていますね。

当時の顧問の先生は、元々オリンピック目指すようなレベルで陸上をしていた人だったんです。もちろん部員として色々教えてもらいたいと思いますよね。

なので、その先生に「教えてください」って言いに行くと
「自分で考えろ!」しか答えてくれなくて…笑

岡内

ええ!!
「考えろ」しか言ってくれない先生ですか!笑

たしかに、「教えてよ!」ってなりますね笑

しかも、その先生は陸上で活躍されていたのであれば、なおさら「教えて欲しい」って思いますよね。

信田

本当に何を聞いても、「考えろ」しか回答してくれなくって…

当時は「自分で考えることを放棄して、生徒に無理をさせているダメな先生だ」って思っていました。
なので、よく副顧問の先生に愚痴を吐いていました笑。

信田

でも教師になって、
すごい本質的な教えをしてもらっていたんだな、って気づいたんです。

ある意味、その先生は僕たちを信じてくれていたんですよね。

岡内

なるほど。
信じていたからこそ、教えずに「考えろ」と言っていたんですね。

信田

そうですね。
いざ教師になってみると、「あ、中学生ってこんなにも考えられないんだ」って気づいたんです。

「はい、わかりました!そうします!」
って大人とか、先生の言われたことに従うことは思考停止しているのと一緒なんですよね。なんでもかんでも先生が教え込むと、生徒は思考停止しちゃうことに気づきました。

岡内

うわ〜、僕は「はい、わかりました!と言え」っていう文化で育ちましたね。
体育会系の人生だったので、大人もそうですけど、先輩の言うことも絶対で…

そう考えると、信田さんの中学時代の先生は
ご自身の輝かしい陸上人生がありながら、その型にはめ込むような指導をしない良い先生だったわけですね。

信田

そうですね。それこそ、僕は部員が100名もいる陸上部のキャプテンだったので「自分で考えろ」という言葉の重みが人一倍あったわけです。

その分、かなりの経験値を得ることができたと今となっては思います。

岡内

部員100名のキャプテンだったんですか!
それは、自分で考えろのハードルがかなり高いですね…

ちなみに、高校生の頃も同じような経験をされているんですか??

信田

高校時代は、これまた変わって暗黒時代でした…

地元愛知では有名な進学校に入学するんですが、徹底した管理教育だったので「考えるな、やれ」というスタンス。

本当に毎日苦痛で、1秒でもはやく家に帰りたいと思う日々でしたね。
嫌すぎて、その学校のことを刑務所って呼んでいましたもん笑

岡内

ええええ!中学の時と真逆の教育方針!!
(当時の信田さん、すごく反抗してそう笑)

でも、進学校あるあるかもですね。
僕の通っていた学校もコースによっては、山奥にある宿舎に月1回は泊まり込みで勉強合宿があり、生徒はそこで1日15時間とか勉強させられていました。

信田

これ、本当にもったいない時間だと思うんです。

高校3年間で得られたことって、『受験対策』だけじゃないですか。

(偏差値が高い進学校の)生徒1000人が得られる経験はそれだけ?
もっとおもしろいことできたんじゃない?
ってすごく思いますね。

それこそ今どきの高校生ってすごいこと成し遂げていますから。あの3年間の地獄のような日々を違うことに費やせたらどうなっていたんだろうって思います。

岡内

間違いないですね。めちゃくちゃ同感です。

僕もよく高校生と会話しますし、彼らのキャリアサポートをすることが多いんですが、本当に今の高校生って優秀ですよね!

もっと言うと、ちょっとしたきっかけや気づきがあるだけで、どんな子でも一瞬で別人のように成長できちゃうことを実感しています。

だからこそ、信田さんがおっしゃる通り
どんな無謀な目標にも手が届く可能性の高い高校生活を『受験対策』だけのために使うのはもったいないですよね。

信田

ですね!だからこそ、「やりたいことやっていいんだよ!好きに生きろ!」って生徒には言い続けたいです。

「何がなんでも優秀な学校にいきなさい」とか
「あなたは優秀なんだから、こっちの大学にいきなさい」とか
そんなの真に受けていたらダメですよ!

偏差値だけでなく、行きたいところにいけばいいんですよ!

信田

それこそ、
「勉強していないと、良い高校や大学に入れないよ」
「入れなかったら人生ダメになるよ」って声があると思うんですが

今の時代は、「絶対そんなことない」ですもん!

(N高とか)高校も色んな新しい種類の学校も設立されているし、高卒だとしてもなんとでもなる時代だと思うんです。

岡内

おっしゃる通りですね。
それこそ、N高は2万人以上の生徒がいるそうなのですが、めちゃくちゃ彼ら優秀で、プレゼンとかさせたら僕よりうまいんじゃないかってくらいハイテクなプレゼンしますね笑。

また、高卒の人も
たとえば高卒出身の経営者など、社会で大活躍している人もたくさんいますもんね。

信田

そうなんですよ!
なので、私たち大人の役割って、子供を「信じて待つ」ことだと思うんです。

信田

大人が正論を言うと、子どもは何も言えなくなってしまうんです。
なので、とにかく子どもの話を徹底的に聞き「信じて待つ」

子どもの可能性を壊すのも伸ばすのも、親や大人次第だと思います。

岡内

なるほど!
「信じて待つ」ですね!

とはいえ、結構これが難しいことなんじゃないかと思います…
子供に愛情や期待があればあるほど、待てないものなんじゃないかなと。

信田

そうなんです。子どもに期待ってしちゃうもんなんです。
でも、「期待って誰のためなのか?」って考えてみると、おそらく子供のためというより親自身のためだと思うんです。

親が「うちの子あの◯◯大学に行ったんです!」って言いたいだけだと思うんですよ。もちろん、子どもに幸せになってもらいたいのはすべての大人が思うところでしょうが、愛情と期待はまた違います。

大人(親)は、期待を手放して信じて待つだけなんです。
期待は、子どもが自分自身にするものだと僕は思います。

岡内

(ふ、深い…!)

期待はエゴにも繋がるから、「(愛情も持って)信じて待つ」ってことですね。
勉強になります。

信田

そうですね。また、期待って時には「人を殺す」ほどの力があると思うんです。

最近でも、芸能人が世間からの印象や、評価(期待値)に悩まされて、自殺してしまったってニュースがあったと思います。

このように、期待って一見良い言葉なんですが
扱い方が変わるだけで危険な言葉にもなるんです。

岡内

そうですよね。
芸能人だけでなく、身の回りでも過度な期待による悩みを抱えている人の話は聞きますね。

だからこそ、「信じて待つ」が大事なんですね。

信田

はい、その通りですね!

なので、大人は「信じて待ち」
子どもは「やりたいことに挑戦」すればいいと思っています!

そのためには、誰かの意見ではなく自分の考えを大事にする必要があります。
だから、「大人のいうことは聞くな(鵜呑みにするな)」なんです。

岡内

なるほど!
そこに繋がってくるわけですね!

信田

また、自分の考えだけでも人って成長しないですから
色んな人からアドバイスを積極的に聞きに行った方が良いと思ってて、

よく生徒には
「チャレンジしている大人はいっぱいいるから、そういう人から学んだ方がいい」「ただ、そういう人たちには自分からアクションしないと、会えないぞ」
って言っています。

信田

なので、中学教員時代には生徒に見本を見せるべく
(生徒に講演をしてもらうために、)ニューヨークからダンサーを呼ぼうとfacebookでメッセンジャーを送ったり。

他にも、何回も断られながら
オリンピック選手に手紙を書いて中学校に呼んだり。
色んなアクションを取っていましたね!

中学生なんて、学校と家と塾くらいにしか行動範囲がないわけですから
「そんな小さな枠組みに収まるな!」って思いも込めて、先陣切ってカラを破ってました。

岡内

うわ〜〜!!
めちゃくちゃその生徒が羨ましい!!

僕も、信田さんのような先生に出会いたかったです。

信田

誰かを呼ぶだけでなく、自分自身も
中学教員をしながら歌舞伎俳優を10年勤めたり。
ビジネスのイベントに参加したり、自分でイベントを催したり。

他にも、のど自慢に応募したり。
セカイノオワリの事務所にデモテープを送ったり。色んなことをしていました。

岡内

そんな先生、なかなかいないです!笑

でも先生がそんなに背中で見せてくれるなんて生徒も幸せですね。

信田

「やりたいことやっていいんだぞ」って本当に生徒に知ってもらいたくって、自分自身が体現することで綺麗事ではないリアルな声を届けることを意識していました。

また僕は『自由には責任が伴う』って言葉を大事にしているんですが、
自己責任で行動することは、誰かに操作されない人生になるんです。

つまり、自由を得るためには、自己責任で行動することも合わせて生徒に伝えていきたいですね。

岡内

『自由には責任が伴う』良い言葉ですね!!
僕もこの言葉、大好きです。

大人の言うことを鵜呑みにせず、自分の人生なんだから自分で考えて行動していこう。そうして得た責任が、自由を手に入れれるための切符ということなんですね!

岡内

今回の記事がきっかけで、自分で人生を切り拓いていこうとする生徒が増えることを願っています。

信田さん、本日はどうもありがとうございました。

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この記事を書いている人:
岡内 大晟(おかうち たいせい)
大阪生まれ。高等学校教諭一種免許取得。

教育実習にて、社会に出るための勉強を教えるはずの自分(教師)が、全く社会のことを知らないことに葛藤を覚え、サラリーマンの道へ。
400人以上の経営者へのインタビューを経験し、『型にハマらない』行動や選択をしている人が社会で大成していることを実感し、『可能性を伸ばす教育』を高校生に提供することを自身のミッションにする。

<取材・文・編集=岡内大晟@okachi_kyoiku

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岡内大晟
大阪生まれ。高等学校教諭一種免許取得。 教育実習にて、社会に出るための勉強を教えるはずの自分(教師)が、全く社会のことを知らないことに葛藤を覚え、サラリーマンの道へ。 400人以上の経営者へのインタビューを経験し、『型にハマらない』行動や選択をしている人が社会で大成していることを実感し、『可能性を伸ばす教育』を高校生に提供することを自身のミッションにする。 その後、高校生を対象にAO入試専門塾の校舎長として進路指導に従事。 全国の高校で講演活動も行う。 その傍ら、インタビュアとして2社。編集長として1社のオウンドメディアの立ち上げに従事。 <取材・文・編集=岡内大晟@okachi_kyoiku>