伊藤さんよろしくお願いします。
読者のみなさまに向けて、簡単に自己紹介をお願いできますか?
ZアカデミアというZホールディングスの企業内大学で学長をやっており、またグロービス経営大学院というビジネススクールの先生と、「ウェイウェイ」という自分の会社もやっています。
あと、2021年4月に武蔵野大学が「アントレプレナーシップ学部」という新学部を開設しまして、学部長もしております。よろしくお願いします。
ありがとうございます。伊藤さんが学部長をつとめる学部って「どんなんなんだ!」って気になっちゃいますね…笑
ただ今回は、高校生や大学生に向けて、「人生の切り開き方」について話をお伺いしていけたらと思います。
学生時代って、「何が楽しいかわかんないな〜」とか、「やりたいこと探せって言われるけど何したらいいかわかんないな〜」とか、ちょっとモヤモヤするな〜とか、そういう時期なんじゃないかな、と思っています。
僕は、『やりたいことなんて、なくていい』っていう投げやりなタイトルの本を書いてますが、本当にそれでいいと思うんです。そのうえで、どうやってやりたいことを見つけるか、そんな話をします。
(どうやって、やりたいことをみつけるか??気になっている人多そう!)
よろしくお願いします!
まず、今回覚えて欲しいキーワードは『Lead the self(自らを導く)』です。
『Lead the self(自らを導く)』ですか…
はい、『Lead the self』です!
リーダーシップを身につけろと、よく言われます。でも、どうしたらそのリーダーに人がついてくるのでしょうか?自分がリードされていないと、つまり自分が熱狂されていないと、人はついてこないと思うんです。リーダーシップの原点として、人をリードする前に自分自身をリードするべき、ということです。
大学を選ぶ時も、偏差値で見るだけではなく、ここの大学にはこんなところがあるな、とかこんな先生がいるな、とか自分自身と会話して選んでいって欲しいんです。
まずは、「自ら」を導くことが大切なんですね!
これは大学に限らず人生の様々なところで自分が進むべき道を選ぶ時も同じです。どんどん選択肢が広がっていくんです。自分自身をリードするという感覚がないと「糸が切れた凧」みたいに飛んでいってしまいます。
多くの人は、「このままでいいか」とばくぜんとした不安があったり、ただ「どうしたらいいかわからない」まま時が過ぎていく、なんて経験があるんじゃないでしょうか。
でも、自分の人生です。自分自身と向き合い、自分を導いていくことで、流されるままの人生ではなく自分で道を見つけていって欲しいんです。
ばくぜんとした不安がある高校生や大学生は、結構多い気がします。
(僕自身も当時は何かと焦っていました…)
ちなみに、どうすれば「自らを導く」ことができるようになるんでしょうか??
「内省」する(自分を見つめる)ことと、「対話」することです。
まずは、自分って何が好きなんだろう、と「内省」をします。そして、友達でも家族でも先生でもいいので、様々な人とたくさん「対話」した方がいいです。
(自らを導くためには、「内省」と「対話」が必要なのか!)
内省と対話を通じて、「自分自身に気づいていく」ことはとても大切です。
人それぞれ好きなもの、大切にしているものは違います。それは当たり前で、人それぞれに経験があり、経験するから好きになっていくんです。つまり、現在の自分を知るために過去を振り返る必要があるんです。
過去を振り返ってみると現在好きなものが見えてくるということです。そのために、ライフラインチャートというものがあります。
なるほどなるほど!
自らを導くためには➡︎内省と対話を通じて、自分自身に気づいていく。
自分自身に気づくためには➡︎過去を振り返る必要があるってことですね。
これが僕のライフラインチャートですね。横軸が歳、縦軸がモチベーションになっています。
高校1年の夏、毎日頑張っていたテニス部を(学校の練習にはあまり出なかったために)クビになり、失恋など災難が続きました。
浪人して大学進学。銀行員になってもやる気レスで、半年の研修でも不合格。働く意義も見出せずに、朝になると毎日嘔吐する日々を過ごしていました。
そんな中で、26歳の時に鬱になりました。
(えっ!うつ?)
出社拒否になったんです。
その後、会社に行けるようになっても、毎朝、嘔吐してから会社に向かっていましたね。そんな状態が数ヶ月続いたんです…
とても意外です…
鬱のお話だけでなく、新卒時代からばりばり活躍されている方だと思っていました。
全くそんなことなかったですね笑
鬱自体は、マンション会社の案件を機にいきなり急回復しました。仲間に助けられたんです。仕事を教えてくれて「仕事ってこうやってやるんだ」と仕事をする最初のモチベーションが芽生えました。
1年後にそのマンションが出来上がった時、マンションから入居者の家族連れが笑顔で出てきた瞬間に身体中が痺れて、その方たちの幸せに貢献したことへの喜びを感じました。それから25年間、ずっとその笑顔を追い求めて僕は仕事をしています。
お仲間の方の協力がありながら
「仕事の辛さを、仕事の楽しさで解決」できたんですね。
読者のみなさんもこれからいろんな仕事をしていろんな辛い経験をすると思います。そこで何かビビッと電流が走る瞬間が「みなさんの原点」です。
いつかそういう日が来るし、一生懸命やっていると電流は何回かきます。
人は変われると思います。
僕は26歳で本当に社会に適合できずやばかった時から、楽しく仕事ができるようになりました。僕が変われたんだから、みんな変われると思います。
みなさんもぜひライフラインチャートを書いてみてください。いろんな発見があると思います。みなさん、案外自分の人生なんて思い出さずに過ごしていますから。
伊藤さんのように壮絶な人生を歩まれている方に「人は変われる」と仰っていただけたら、心に響く方も多いと思います。
ライフラインチャットを書くときは「内省」と「対話」を忘れずに、ですね!
そうですね。で、現在・過去と見つめていくとその先に未来がありますよね。未来のことを考えろと言われるけど、みなさん分からないと思うんです。
むしろ今の時点で決まっていたら、大事にして欲しいけれど、「変わるかもよ」って言いたいくらい…
重要なのは、現在も過去も未来も「繋がっている」という意識をすることです。現在の積み重ねが未来に繋がっていくんです。
では、未来を変えたいのであればどうしたらいいのでしょうか?
それは、いまこの瞬間から行動を変えることなんです。
間違いないですね!
英語ができないなら、今日この瞬間から英語を勉強するべきです。
僕は、大学受験のとき英語で、偏差値89になるくらいまで勉強したのに、大学でも仕事でも全然英語に触れなくなったことで、英語が全くできなくなりました。そこから「喋れるようになりたい」とTEDを聞きづつけたら、寝言が英語になるくらい口から出てくるようになりました。
その繰り返しでしかないんです。だから、何か得意になりたいものがあるなら今この瞬間からその勉強を始めてください。
言われてみれば「その通りでしかない」ですよね。
これ、意外とわかっていてもできない人が多い気がしますね…
でも結局、「やるしかない」現状は変わらないですもんね笑
今の時代はチャンスに溢れている
ちょっと違うお話をします。世界は変わっていきます。
この写真は、見たことがある方もいらっしゃるかもしれないんですけど1903年のニューヨーク、マンハッタンです。手前の馬車を見てみてください。
次の写真は、13年後の1913年のニューヨークです。
約10年で馬車が一台もいなくなっています。フォードという会社が1907年にT型フォード自動車というものを作ったからです。
こうやって、どんどん世の中は変わっていくんです。そういう変化の激しい未来があるからこそみなさんにはチャンスがあります。
時代の変化が激しい今こそ「チャンス」なんですね!
次は、このグラフを見てください。
インターネットの中にある「データ量」についてのものです。
2010年から2020年の10年にかけて「40倍」に成長しているんです。これが2030年になったらどうなるでしょうか。おそらく凄まじく伸びます。
これからは、冷蔵庫や空調や証明や椅子など全てがインターネットと繋がる時代になります。AIがどんどん賢くなり、いろんなことが使えるようになってきます。インターネットがスクリーンの外に出てきています。
その結果どんな未来が作られていくか予測しようにも、大人もわからないんですよ。僕もヤフーというインターネットの最前線にいますが、わからないんです。
皆さん、横一線なんです。未来は予測するものではなくて、創るものです。だからこそ、皆さんにはチャンスしかないと思います。
なるほど!変化が激しいからこそ、大人であろうが、若者であろうがスタートラインが一緒なんですね。
だから、ぜひ自分をワクワクさせて、そうなったらなにができるの?とか一生懸命考えてみてください。すると、あなたでも「一番」になるかもしれません。
そういうチャンスが待っています。だからこそ、「自分の人生を自分で作っていく(Lead the self)」 ことが大事なのです。
なるほど!!
誰でもチャンスがある時代だからこそ、自分の人生を自分で作っていくことが大事なんですね。僕もワクワクしてきました!!
伊藤さんのお話から、自分自身をリードし人生を切り拓いていく方法と、大切さを学ばせていただきました。伊藤さん、本日はどうもありがとうございました。
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この記事を書いている人:
岡内 大晟(おかうち たいせい)
大阪生まれ。高等学校教諭一種免許取得。
教育実習にて、社会に出るための勉強を教えるはずの自分(教師)が、全く社会のことを知らないことに葛藤を覚え、サラリーマンの道へ。400人以上の経営者へのインタビューを経験し、『型にハマらない』行動や選択をしている人が社会で大成していることを実感し、『可能性を伸ばす教育』を高校生に提供することを自身のミッションにする。
その後、高校生を対象に総合型選抜専門塾の校舎長として進路指導に従事。 全国の高校で講演活動も行う。 その傍ら、インタビュアとして2社。編集長として1社のオウンドメディアの立ち上げに従事。<取材・文・編集=岡内大晟@okauchi_kyoiku>
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