サイボウズ青野社長にインタビュー!「誰でも取締役になれるってどういうこと??」「100人いれば100通りの働き方?」新時代の働き方を代表する企業の実態に迫ってみた

「終身雇用はオワコン」そのように言われてずいぶん経った。
昭和の働き方である「終身雇用」から、「自由な働き方」へと令和は進化をしている。

コロナによる影響も相まって「リモートワーク」が一般的になり、オンラインで商談や面接が完結できるようになった。いま、起業の働き方は大きく転換期を迎えようとしている。

そんな中、「100人いれば100通りの働き方」というスローガンで次世代の働き方を牽引する企業がある。企業の名は「サイボウズ株式会社」。

新卒1年目から取締役になることができたり、自由すぎる働き方に注目が集まっている。代表取締役の青野さんに、その実態と次世代の人材に求められる素質を伺ってみた。

岡内

青野社長、この度は取材に応じていただきありがとうございます。
お話できること大変楽しみにしておりました。本日はよろしくお願いします。

青野

よろしくお願いします。

<経歴>
青野 慶久(あおの よしひさ)1971年生まれ。愛媛県今治市出身。
大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年4月代表取締役社長に就任。2018年1月代表取締役社長 兼 チームワーク総研所長(現任)

社内のワークスタイル変革を推進し離職率を10分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。また2011年から事業のクラウド化を進め、2020年にクラウド事業の売上が全体の75%を超えるまで成長。総務省、厚労省、経産省、内閣府、内閣官房の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーを歴任し、CSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。

著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)、『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』(PHP研究所)がある。

岡内

今回はサイボウズさんの「自由すぎる働き方の実態」についてと、「誰でも取締役になれるってどういうこと?」についてお伺いしていきたいと思います。

素朴に疑問なんですが、なんでそんなことが実現できるんですか?
(実現できる会社ってめちゃくちゃ少ない気が…)

青野

「誰でも取締役になれる」って情報だけをみるとびっくりされる方は多いですよね。でもその裏には、「徹底的に情報共有された組織」であるという実態があるんです。

例えば、経営会議は社員なら誰でもリアルタイムに視聴が可能です。それ以外の社内の重要な会議もほぼオープンになっていてリアルタイムで視聴が可能だし、動画は保存してるし、議事録も社員が全員見えるところにすぐおいているし…
まあそんな会社なんですね。

岡内

えええ!!そんな重要な会議すら全員見れちゃうんですね!!

青野

さらに、自分が気になったことはツッコミを入れなさいというルールを決めています。見るだけじゃなくて「あれこれおかしいな?」「青野さんこれ現場のことわかってないんじゃない?」って思ったらそこでちゃんと質問をしなさいと言っていますね。

これが「質問責任」という僕たちの掟というか文化なんですよね。質問をしないで愚痴るのは卑怯やでって笑


「質問をしないで愚痴るのは卑怯」
自分にも当てはまることがあるので気が引き締まります…

岡内

たしかに卑怯ですね!笑
(質問するのは勇気がいるけど、そういう社風だから言いやすいんだろうな)

青野

そうなるともう全社員が取締役ですよ笑。

誰もが誰もを見張ることができて、そこに「これはこうした方がええんちゃう?」って助言することが出来るっていう組織になっているんですね。こういう文化をサイボウズは長年かけて作ってきたんです。

岡内

なるほど!!!

青野

で、ある日ハッと気づくんですよ。「法律上の取締役いらなくない?」って笑。

これだけお互い取り締まりまくっているのに、取締役いる?ってなったときに「いらないね」ってなったんです。じゃあ法律上おかないといけないんだったら名乗ってみたい人が名乗ってみたら?ってなって笑。

じゃあ取締役やりたい人いる?
って社内で聞いたら、17人も手が挙がったんですよね。

岡内

すごっ(めっちゃおもろい笑)

青野

「おお、結構いるね」ってなったんですが、みんな取締役になってもらいました笑。でも別に取締役になったからといって、なにか特別な仕事を期待しているわけでもないんですよね。

法律上の手続きや、取締役会に参加してもらって最終承認を押してもらうっていう手続きはあるんですけど。それぞれが色々な思いでやってくれているので、それ以上は何も言わないという感じなんです。

岡内

そもそも社内が公明正大な文化だからこそ、取締役に誰がなったとしてもあまり影響はないということなんですね。

青野

そうですね、影響はないですね。逆に17人が取締役ではなくて、ほかのメンバーも取締役なんだっていう感じです。


社員の方一人ひとりの自立したお姿が目に浮かびます…

岡内

ツッコミ入れるのも仕事と仰っていましたけど
なぜその仕組みを取り入れられたのですか?

青野

その方が効率が良いっていうのが1つですね。たとえば、私が本部長会とか事業戦略会議とかの重要な会議をクローズにして見えないようにして、ある日事業戦略の報告をするじゃないですか。

もし「現場を分かっていないよー」っていう声があったら、やり直さなければいけないですよね。これ効率悪いよねってことなんです。

岡内

たしかに効率が悪いですね…

青野

なので、戦略の1ページ目からオープンでみんなと作っている感覚ですね。ツッコミを入れやすくすると精度が高くて良いものを早く作ることができるので、みんなに早めにツッコンでもらっています。

もう1個は、そのほうが社員のモチベーションが上がるからですね。今日入社した社員でも自分の意見を言うことができるんですよ。下積み生活長くやらせられて、「出世するまではお前は我慢しろ!」って文化はサイボウズにはないです。

青野

楽しくて、効率がいいっていう2つの理由でやっています。ただ、結構シビアなときもありますけどね。ときには殴り合いのようにツッコミ合戦があります笑

「ちょっと殴りすぎやろ」って笑。


「アホはいいけど、嘘はあかん」という文化もあるそう

岡内

そうなりますよね笑
その辺ってルールないんですか?ツッコミのルールというか。

青野

最近人数も増えてきて、殴り合いでノックダウンされるケースが増えてきたので、みんな殴り方のルールを学んでいこって話していましたね。

ちゃんと言われる側の気持ちも想像しろよっていう笑。

なので、新たに「想像責任」っていう言葉を作ろうとしています。質問責任だけじゃなくて、いろいろ言われたときに相手がどう思うのかちゃんと想像してみましょうと。態度だったり言葉だったり、ちょっと考えましょうっていう。

岡内

なるほど。
じつは、弊社も自由な文化で議事録とかオープンにしているんですけど、ツッコミをオープンにしやすいからこそ進まない問題があるなって感じています。

一個出たらゼロになって一個出たらゼロになってみたいのが多いなーって思うんですけど、御社もそのようなことはありますか?

青野

あんまりないですね。

そのためにやっていることをお話しますと、一個は「問題解決メソッド」っていうメソッドを作って全社の共通言語にしています。

岡内

「問題解決メソッド」ですか…!

青野

建設的な議論に変えていくために、フレームワークを作っています。自分が考えている問題の定義を可視化して示すっていうフレームワークです。まあそんなにめずらしいものでもないですが。

それをお互いが共通言語で持っていると、相手と意見が違うときになぜ、何が、どこで、どう違うのはが可視化できますよね。たとえば、サポートの現場ではこんなことが起きているけど、開発の人は知らないとか、そういう現状の認識を合わせたりとか。

あと、理想が違う場合もありますよね。バクが一つもないようなソフトを作るぞってって思っている人と、バグは多少あってもいいけど、スピードよく改善していけるようなものを提供したいんだっていう人がいたとして、理想が違ければ課題も違うわけです。

岡内

なるほど!フレームワークを用いることで、どこで差異が起きているかを可視化して問題解決にあてているんですね。

青野

まあフレームワークで話すのは面倒くさいんですけどね笑
少なくとも話が進まないということはないですね。

青野

あともう一個、最終的に「誰が決めるのか」をはっきりさせています。

いろいろ皆さんから厳しいフィードバックをいただきましたけれども、この件はそれでもやりたいのでやります。以上!って言って進められるようにするっていう笑

岡内

決められるのは、プロジェクトリーダーみたいな立場がある人ですか?

青野

立場がある人が決める場合もあれば、実際には自分がやるって言った人がやる感じですかね。なので、企画立案者じゃない人が指揮をとる場合もあります。
一番想いのある人がやるスタイルですね。

岡内

へえ〜!!
(隅々まで、新人/ベテランと関係なく活躍できる仕組みがあるんだな…)

青野

ほかには、人事異動の権限ってサイボウズの場合、本人にしかないんですよ。
つまり「来年あっちに行ってくれないかな」って行かせることはできないんです。

あくまでも本人がいきたいって言わない限り人事異動は起きないんです。

岡内

え、そうなんですか!(めっちゃいい!!!)
御社のような大企業だと、転勤や部署移動って急に辞令がだされるイメージがありますがそうじゃないんですね。

青野

「自分の意志で自分のやりたいことをやる」っていうのが僕たちの原則なんです。取締役も同じですよね。大事なのは、誰かが選んだのではなくてやりたいって言った人がやっているっていうことです。


サイボウズさんの制度、聞けば聞くほどいいなって思う…

社長としての挫折があったからこそ生まれた

岡内

ちなみに、こういった考え方や社風って創業時はなかったと伺いました。

なぜ、それを取り入れようと思われたのですか。
ターニングポイントとかありました?

青野

そうですね、1997年に創業したんですけど、そこから三人で立ち上げて、私は最初全然社長とかじゃなかったんですよ。
普通に販売、マーケティングをやる三人のうちの一人だったんですけど、私の先輩がやめることになって…

で、2005年から社長をやるようになりました。いきなり上場企業の社長になってしまってマネジメントもよくわからないまま、いっぱい失敗をしましたね…
結果、会社が傾いてしまったんです。

岡内

(青野社長にもそんな困難が…)

青野

色々な会社を買収したんですけど、マネジメントがめちゃくちゃになってしまって、何回も下方修正していました。で、そこで一回ギブアップしたんですよね。「あーもう無理だ」と思って…

僕はマネジメントの才能がないんだと思いましたね。

岡内

え、そんなことがあったんですね…

青野

でも、もう一回命がけでやり直そうと決意したんです。その時に生み出そうとしたのが今のスタイルかもしれませんね。もう自分はバカなんで、残念ながら経営者として「俺のいうことやったら上手くいくんやで!」っていうのが出来ないタイプだと気づきました。

(今のスタイルのように)正直、情報を開示するのは、自分の知識の無さを全社員に知られてしまうっていうことですからね…

おそらく、旧来型の日本の組織で働いている人がそれを手放すのは勇気がいることだと思いますが、それを受け入れる覚悟をしました。

岡内

(僕にはプライドが邪魔をしてできない判断だ…)
青野社長も勇気が必要だったと思うんですが、既存の社員さんも大変だったんじゃないですか??

青野

そうですね…
管理職にもこれを求めていったので、なかなかこのスタイルがなじまなく旧来型のスタイルを手放せない人もいましたね。

岡内

立場が下の人はチャンスが広がっていいかもしれませんが、上に立つ人からしたら恐怖にも感じますよね…

でもそれがどんどん洗練されていって、今のサイボウズさんのユニークな経営方針に繋がっていくんですね。

青野

15年くらいですかね。だんだんとこのスタイルが定着していって、今では取締役要らないんじゃね?っていうところまできたところです笑。

岡内

自立型人材や、主張をする人材を輩出していく際に
どういうハードルがありましたか?

青野

一番大きいのは全てのマネジメントスタイルを変える必要があったことですね。自分の考えを押し付けるのではなくて、オープンにして意見を集めながらやりなさいっていうスタイルに変えてもらうのが結構大変でした。

人事とかも大変ですよ、サイボウズは100人100通りの働き方があるので、言い換えるとみんな言い放題なんです笑。100人100通りで意見をぶつけて来ますから、人事としてはたまったもんじゃないですよね笑。

青野社長が考える、学生時代の過ごし方とは

岡内

それこそ新卒一年目から取締役になった方もいますよね。

夢があるなと思う反面、ある程度の考え方とかスキルとかを前提としてあった方がいいのかなーって思うんです…(取締役になるには責任問題とかやるべきことあまり変わらないよと仰ってはいましたが)

ぶっちゃけ、高校生/大学生の時はどのように過ごし方をすれば御社に一年目から取締役になれると思いますか?

青野

まずは取締役になると、確かに手続きくらいにしか期待していないんですけれども、法律上の責任は発生しますよね。場合によっては、株主から訴えられるリスクもゼロじゃない、それは理解してもらったうえでなってもらっていますよ。まあ名前も出ちゃうし笑。

でも、取締役になりたいなら手を挙げてもらえばなれますという感じですかね笑。今17人なので一応みんな取締役にしていますけど、100人くらい手が上がったらさすがに考えます笑。じゃんけんとかしてもらう可能性あるんじゃないですか笑。

岡内

じゃんけんですか笑

青野

まあそうなるとサイボウズに入社するところの意識が必要ですよね。
「自立型の人間」を求めているというところですかね。

岡内

「自立型の人間」…!

青野

自分で選択して自分で行動して自分で責任を取るという、これ簡単なようでめちゃくちゃ難しいですよね。

日本の教育だと、いつ小学校に入るとか自分で選べないですよね。ちょっと勉強難しかったからもう1回、5年生やるっていうのもだめですよね。自分でやりたいを選択するという機会が正直相当乏しいと思っています。

なので、今の教育の中ではそこが鍛えられていないので、もしサイボウズに入社したいと思ってくれている人がいるのなら、そこの習慣ですね。自分で選択する、自分で行動する、自分で責任を取る、そういう人材を求めています。

岡内

青野社長が高校生や大学生に戻れたら、なにをしますか?

青野

極端なことをいうと、高校や大学に行ってなかったらどんな人生になるだろうかなとは思います。たとえば、僕たちの世代はビル・ゲイツとかスティーブ・ジョブズとかカリスマがいます。この2人って大学を卒業してないんですよ。中退しているんですよ。

「やっぱこの差かな〜」って思ったりします笑。

青野

僕、中退すること考えていなかったなーって。
なので、レールから降りる勇気を持つというか…

僕が中学生に戻れたとしたら、高校は行かないで起業してみようって思いますね。それこそ、総合型選抜を受ける人とかはそんな傾向がある人多そうですね。

岡内

「レールから離れる勇気」が大事なんですね。中高生のみなさんには良いメッセージになりますね!

青野

高校とか大学も、行きたいと思ったら行けばいいと思うんですよ。誰かが決めた暗黙のルールなわけじゃないですか、だから無視していいんじゃないのって思いますけどね。何なら僕オンラインで学校通っていますし。

岡内

え、そうなんですか!

青野

毎週レポート書かされていますよ笑。
人生100年時代なので学び続けなきゃいけないんで。

岡内

なるほど、勉強になります!
周りに流されることなく、自己判断で人生を切り拓いていこうということですね。

岡内

サイボウズさんの自由な働き方の背景から、今の社会に求められる人材になるための学びを得れました。ますます御社のファンになっています。本日はどうもありがとうございました。

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この記事を書いている人:
岡内 大晟(おかうち たいせい)
大阪生まれ。高等学校教諭一種免許取得。

教育実習にて、社会に出るための勉強を教えるはずの自分(教師)が、全く社会のことを知らないことに葛藤を覚え、サラリーマンの道へ。400人以上の経営者へのインタビューを経験し、『型にハマらない』行動や選択をしている人が社会で大成していることを実感し、『可能性を伸ばす教育』を高校生に提供することを自身のミッションにする。

その後、高校生を対象に総合型選抜専門塾の校舎長として進路指導に従事。 全国の高校で講演活動も行う。 その傍ら、インタビュアとして2社。編集長として1社のオウンドメディアの立ち上げに従事。<取材・文・編集=岡内大晟@okauchi_kyoiku

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岡内大晟
大阪生まれ。高等学校教諭一種免許取得。 教育実習にて、社会に出るための勉強を教えるはずの自分(教師)が、全く社会のことを知らないことに葛藤を覚え、サラリーマンの道へ。 400人以上の経営者へのインタビューを経験し、『型にハマらない』行動や選択をしている人が社会で大成していることを実感し、『可能性を伸ばす教育』を高校生に提供することを自身のミッションにする。 その後、高校生を対象にAO入試専門塾の校舎長として進路指導に従事。 全国の高校で講演活動も行う。 その傍ら、インタビュアとして2社。編集長として1社のオウンドメディアの立ち上げに従事。 <取材・文・編集=岡内大晟@okachi_kyoiku>