あなたは、教師という職業を聞いて「どんな」イメージを持ちますか?
「#先生死ぬかも」という言葉がTwitterでトレンド入りをし…
教員試験の定員割れが各地で起きている。
一方、高校生に聞いた「なりたい職業ランキング」では、
教師は全体の11.4%を記録し、第一位に輝いている。(スタディサプリ調べ)
つまり、高校生の約10人に1人は、教師になりたいと思っているのだ。
にも関わらず、教員の定員割れが起きる事態…
この背景には、教師という職業に苦痛というイメージを持たれている人が多いからではないだろうか。
そんな中、教師という職業を「楽しい」と言っている人物がいた。
「教師って実際ホントに楽しいの!?」
今回はそんな謎に紐解くべく、現役の高校教員の方にインタビューしてみた。
すると…
「高校に起業塾がある」ってどういうこと?
「先生も起業する」ってどういうこと?
と、予想をはるかに超える教師の実態を知れることに⁉︎
この記事を読み終える頃には、「教師って楽しい」と思えているはず。それではご覧ください。
今回のゲスト:
北澤 壮太(きたざわ そうた)
1989年青森県つがる市生まれ。日本大学法学部卒業後、神奈川県に本社を置く学習塾へ入社。現場での講師職を経て、2年目より人事部として新卒リクルーティング・人材育成に関わる。その後「人材育成のノウハウを教育現場に活かしたい」と2016年に転職、私立の高等学校で勤務。「総合的な学習の時間」等の授業において、実践的探究活動「社会探究」や探究型研修旅行「PBLツアー」の立ち上げを行う。本業の傍ら、“学校の先生をもっと魅力的にする”をモットーに、学校専用の人材紹介サービス「SchoolBridge」を立ち上げ、現在に至る。
<聞き手=岡内大晟>
北澤先生、本日はよろしくお願いします。
早速ですが、北澤先生の勤務校では起業家教育に力を入れてらっしゃるとお聞きしましたが、どういった内容なのか教えて頂けますか??
はい、私の勤務校では「起業家になりたい!」という希望がある生徒達を対象に、疑似的に起業を体験できるプログラムを設置しています。
実際の経営者の方々の話を聞き、自分達でビジネスモデルを作成した上で、資金調達や社員募集のピッチを行い、文化祭で営業を行い、配当金としてVCに還元し、かつ売上の一部を慈善団体に寄付するところまでを一貫して経験することができます。
VC(ベンチャーキャピタル)とは…??
➡︎投資をしてくれる会社のこと
かなり、本格的ですね!!
それらを経験した後は、実際に学外に出店するというプログラムもあります。これは模擬店ではなくテナントを借りて実店舗を運営するので、非常に難易度が高いです。
人件費もしっかり計算した上で経営させるので、黒字にするのは至難の業です笑
学内だけでなく、実際に店舗出されたりまでしているんですね!!
(めちゃくちゃ高校生が羨ましい…)
はい!ただ実際には、準備が超大変だし、揉め事もすごい起こるんです笑
でも、その分良い学びになっていると思っていて…
起業の話を聞いて、起業ができるのであれば、みんな起業できると思うんです。でも全員成功するわけではないじゃですか?
なので、何よりも『実践』を積めたことが生徒への成長になると思いますね。
そういう意味で、当校は果敢にチャレンジして「失敗すること」も賞賛する文化があります。
失敗することも成長なんですね!
そうですね!
正直、赤字でも全然いいと思っています。
なぜなら「なんで赤字になったのか?」を考えることが一番成長につながるからです。
高校生のうちにたくさん失敗をして、「じゃあ次はこうしよう」「その次はこうしたら上手くいくかな?」って失敗から学んでいくことが、僕は大事だと思うんです。
なので、失敗することは良いこととして、生徒にチャレンジをできる環境を作っています。
めちゃくちゃ素敵です。失敗できる環境を作っていらっしゃるんですね!
環境でいうと、「主体性」を伸ばすための環境作りって難しいなって思っているんですが、北澤先生は普段どのようにして生徒の主体性を伸ばしていらっしゃいますか?
主体性を伸ばすためにやっていることは「場づくり」と「承認」ですね。
「質問するのはかっこいい」
とか、「発言するのかっこいい」っていう雰囲気を作るようにしています。
たとえば、始めて手を挙げた子に「質問良かったじゃん!」って褒めることで、生徒たちに「それって良いことなんだよ」って伝えるという感じです。
積極的に前に出ることは良いことだって生徒たちも気づけるので、主体性のある集団が生まれていきますね。
なるほど、「場作り」と「承認」ですね。勉強になります!
社会にでると、質問した者が勝っていくと思うんですが、
実際に「質問するのがかっこいい」っていう文化って、日本の高校では結構珍しいですもんね…
積極的に手をあげる人(質問する人)って本当に少ないので、手をあげること自体魅力だと感じています。
衝撃的だった出来事があるんですが、社会人二年目の研修の時に、100人くらいいる中で「何か企画を提案したい人はいる?」という質問があったんです。
僕は「一番前の席で一番最初に手を挙げよう!」って思っていたんですけど、後ろの方で(質問をされる前から)ずっと手を挙げていた人がいて、その人に一番を取られてしまったんです!
うわ〜
質問する前から手をあげる、そんな手があったんですね笑
「そういうのやってもいいんだ!!」
「常識に囚われず自分の意見を表明ていくってこういうことか!」
って気づきましたね…
で、その後ろにいた人はやっぱり面白い人だったんですよ。頭の切れる人で、世の中のできる人ってこういう人なのかと、感じましたね。
そういう経験があったからこそ、一番を取ることはそれだけの価値があるので、自信のない子こそ、一番『はじめ』を取ってほしいと思いますね。
なるほど!
一番先に手をあげること自体にそれだけの価値があるので
自分に自信のない子にこそ、そういった「行動面」で他者より抜きん出た方がいいってことなんですね。
「何のために頑張るのか」あなたは即答できますか?
ちなみに、北澤先生ってどういうご経歴なんですか??
新卒から教師になられたわけではないんですね!
はい。僕は、民間企業出身なんですよ。学習塾に務めていまして、二年目からは人事部に配属され、新卒採用や人材育成に携わっておりました。
人事なので、大学生を相手に面接をする仕事だったのですが、
彼らと面接していると、「それしかないの?」ってガッカリすることが多かったんです。
今まで親御さんが大切に21年間育ててきて、いろんな人と関わってきて、頑張ってきたと思うんだけれども、その21年間の成果が「たったそれだけのアウトプットしかないの?」っていう学生を現場でたくさん見てきました。
「なんで頑張るの?」という質問に対して、「なんで」が言えない子とか。
「何ために?」っていう原点がない子たちを見て…
苦しいというか、悔しいというか。なんで世の中こうなっているんだろう、人生のここに至る前の段階で、教育をし直すことができたなら、5年前、10年前に彼らに出会って、何か言えたら何か変わったのではないかなと。
その経験から、日本の教育って「なんでこういう子たちを生んでしまってるのか」ということに課題をもちまして、その根幹に関わりたいと思い、学校の先生になったんです。
そんな背景があったんですね!
(熱い!本当に子供たちのことが好きなんだと伝わってくる…)
僕も同じことを思っていて、右向け右が日本の教育じゃないですか。
でも、社会に出ると右向け左をできる人材が(個性や専門分野があるという意味で)重宝されると思うんです。
その個性を消しながら18年間、20年間生きて来た人間が、いきなり逆の事をやれないと思っていて、じゃあ、高校時代からあなたは何をしたいの?という個性を尊重できるような教育が求められていると思います。
同意見です!
高校生のうちに「何のために」「どうあっていきたいのか」など『原点を作れ』と生徒たちに伝えたいですね。
とはいえ、僕自身もどうなんだ?
と言われると少し前まで「空っぽ」だったと思います。
え、そうなんですか!?
(こんなにアクティブに活動している先生なのに??)
それこそ、前職で面接や生徒指導をしているときに
「もっと自分でやりたいこと見つけなきゃダメだよ」とか「原点を見つけなよ」って言っていたんですが、言っている僕がそれに向き合っていなかったんです。
言っているこっちがそういう状況じゃ絶対目の前にいる子たちも幸せにならないだろうなって思って、そこから意識を改めるようになりました。
(特大ブーメランになったんだ…)
今は、教師として「やりたいこと」に向き合えているので自信をもって
この問いへの回答ができますが、もっと早く気づければよかったと思いますね。
なので、高校生のうちからこの問いに向き合って欲しいんです。
なるほど!そうだったんですね!
ちなみに、北澤先生が今「やりたいこと」ってなんなんですか??
今は、「学校の先生を魅力的な仕事にしていく」ことを目標に取り組んでいます。
それこそ、起業塾で私は生徒に起業するための準備や必要なことを教えているのですが、その本人が起業していないのも変だなって思っていまして…
実際にこの3月から「スクールブリッジ」というサービスをリリースするんです。
え、そうなんですか!!
(学校の先生をしながら起業?聞いたことない…)
はい、学校という場をより魅力的にしたいので
実際に現場で働いている先生にしか作れない、サービスを作りました!
先生と先生を結びつけたり、先生と社会を結びつけるサービスなんです。
背景として、こんなにも多様性の時代の中で、学校現場には多様性がない気がしているんですよ。たとえば、副業する人や、民間企業出身の人間が教えるなんてことがよりあってもいいと思うんです。
世の中にもっと素敵な先生がいるはずなので、そこの架け橋になりたいんです!
また、塾と学校の関係性でも変だなと思うことが多いんですよ。
塾は学校のことをわかっていないですし、学校は塾のことをわかっていないんです。2者とも同じく生徒のことを思っているんですが敵同士の関係性になっている気がしてて…
塾は「学校を手伝いたい。」、学校も「助けてほしい。」のニーズはあるんですが、うまく結びついていないんです。ここを結びつけていこうと思っています。
めっちゃいいですね!
同じく、生徒のことを想っているもの同志、
協力していった方が絶対いいですもんね。
これ、塾も学校もどちらも経験している北澤先生ならではのサービスですね。
ありがとうございます。
こういったサービスを通して「先生をより魅力的な仕事に」していくのと同時に、生徒へも「先生も頑張っているぞ」とエールになればいいですよね。
(こんな先生に学生時代出会いたかった!!)
挑戦し続ける姿を生徒に見せるって本当に素敵です!
生徒に「やりたいこと見つけろよ」と言う前に、自分もやりたいことに挑戦していくって当たり前のようで中々できないことだと思います。
北澤先生のような方が増えれば、より教師という職業が魅力的になると思います。
(僕も教員採用試験受けようかな、と感化されちゃった…)
今回の記事を通じて、
先生ってこんな働き方もあるんだ、と伝わる内容になったと思います。
北澤先生、本日はどうもありがとうございました。
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・学校専用の人材紹介サービス「SchoolBridge」
この記事を書いている人:
岡内 大晟(おかうち たいせい)
大阪生まれ。高等学校教諭一種免許取得。
教育実習にて、社会に出るための勉強を教えるはずの自分(教師)が、全く社会のことを知らないことに葛藤を覚え、サラリーマンの道へ。
400人以上の経営者へのインタビューを経験し、『型にハマらない』行動や選択をしている人が社会で大成していることを実感し、『可能性を伸ばす教育』を高校生に提供することを自身のミッションにする。
その後、高校生を対象に総合型選抜専門塾の校舎長として進路指導に従事。 全国の高校で講演活動も行う。 その傍ら、インタビュアとして2社。編集長として1社のオウンドメディアの立ち上げに従事。 <取材・文・編集=岡内大晟@okauchi_kyoiku>
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