時代は変わった。今や、携帯一つでなんでもできる。
iPhoneが開発されたのは2007年。たった14年の月日で、世界の常識はガラッと変わった。
人々は家にいながらなんでもできる時代になった。
同じように働き方もガラッと変わり、YoutuberやTikTokerなど新しい職業も生まれた。
一方、学校はどうだろうか?
この100年間以上、大きな変化があったとは思えない。
もちろん、指導要領に変化はある。
しかしそれは、学校現場にどれほど変化をもたらしたのであろうか?
黒板に向かって座り、一斉に授業を受ける。
時代が変わっても5教科は王者のごとく、その座を譲ろうとしない。
みんな薄々気がついている。
社会と学校での学びは別物であると…
みんな薄々気づいている。
日本の英語の授業は、海外では通用しないと…
気づいていながら変化が100年間起きなかった。
そんな時代に終止符を打つかのごとく、世界を旅しながら学べる高校が今話題を呼んでいる。
それが今回取材させていただいた”インフィニティ国際学院”。
「世界を旅しながら学ぶってどういうことなのか?」実際に、”インフィニティ国際学院”の大谷学院長にお話をお伺いしてきた。
今回のゲスト:
大谷 真樹(おおたに まさき)
1961年、青森県八戸市生まれ。学習院大学経済学部卒業。
NEC勤務を経て、株式会社インフォプラント(現 株式会社マクロミル)を創業。2001年に起業家のアカデミー賞といわれる『アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・スタートアップ部門優秀賞』を受賞。
2008年に八戸大学客員教授、2010年に八戸大学・八戸短期大学総合研究所所長教授、2011年に八戸大学学長補佐、2012年から2018年3月まで八戸学院大学学長を務めた。社会人講座「起業家養成講座」の主任講師も務め、数多くの起業家を輩出している。
2019年インフィニティ国際学院を開校し、10年後の世界を変えるリーダー育成に注力している。
<聞き手=岡内大晟>
大谷さん、本日はよろしくお願いします。
早速ですが、「世界中を旅しながら学べる学校」ってどういうことですか??
生徒には現場に足を運んで、「五感で感じた先の学び」を得てほしいと思っているので、今は日本の「旭川(北海道)、八戸(青森県)、西表(沖縄)」あたりを転々としていますね。
本来であれば今頃インドかネパールにいたと思うんですが、実際に今はコロナで海外に行くのは難しいので「まずは日本を」と思い、生徒は日本を旅しながら学んでいます。
その分、海外の知見は
海外に住む現地の日本人とオンラインで生徒を繋いでおります。
旅をしながら学べる高校って最高ですね!
(僕も高校時代そういう経験をしたかったな…)
現地では、具体的にどんなことをされるんですか??
「生きる力」は知識ではなく、「考え方を身につける」ことだと思っているので
今の100年時代や、コロナの時代で生きていくにはどうしたらいいのか?を生徒自身で考える時間を設けております。
たとえば、明日から西表(いりおもて)に行くんですが、
西表は大自然ですから、ネットからの情報を閉鎖できるんですね。
そこでは、「生徒が自分自身と向き合う時間」が生まれるわけです。
もちろん、私たち大人が答えを教えることはありません。
考え方を導くこともないです。
生徒一人ひとりが自分で考え、「自分だけの答え」を見つけていくんです。
島にこもって自分自身と向き合う…
めっちゃくちゃ良い体験ですね。
「考え方すら教えない」ということにはビックリです。
生徒はそんな状態でも育っていくんでしょうか…??
「考え方すら教えない」ことで、指示待ちな生徒が自身で考えられるようになります。小学校・中学校で十分、基礎的な学力はありますから、高校からは「探求」だけでいいと思っております。
(高卒認定は、通信制の学校と協力して動画視聴などの授業を設けているので取得も可能です。)
そうやって自身で考える力が身につけることで、変化に強い人材になり、
「10年後の世界を変えていくリーダー」を輩出していけると思っております。
また、これこそが「生きる力」だと考えています。
たしかに、高校3年間自分と向き合い
たくさんの現場を体験したら「社会で生きていく力」に間違いなくなりますね。
「10年後の世界を変えていくリーダー」本当に生まれそう…
「こんな学校あったらいいな」が実現されており、
まさに次世代の学び舎だと感じました。
ちなみに、こういった学校やカリキュラム設計にしたいと思われた
きっかけってあったんですか??
「子供たちの可能性を無限大に広げてあげたい」という想いがあるからですね。
というのも、日本の教育は150年間変わっていないんですよ。
富国強兵の時代では、労働者を生み出すにばっちりの教育方針だったわけです。
「右向け右」で何も考えず、言われたことは必ずできる人材が求められていた時代のことです。
でも今の時代に求められている人材は、言われたことをやるだけの人間ではなく、変化に強く、自身で変化を作っていける人だと思うんです。
GDPもここ最近は成長がありませんよね。一方、中国は10倍も成長しています。
その根底は、日本の教育の本質が変わっていないからだと思っています。
変わらないのであれば、自分で学校を作ってしまおうと考え学校建設に至りました。
(すごい…それで学校作っちゃうってなかなかできない…)
僕も、学校で学んだことが
社会で活躍するための力になっているかどうかに疑問を感じています…
実際、社会に出てみると
学校の授業で学んだことより、部活を通じて学んだことの方が役に立っていたり。
また英語の授業も受けてきましたが、
(恥ずかしながら)僕は英語話せないですし…
もう少し、「社会に出てから〜〜が必要だから〜〜はしときなさい」って教えてほしかったな、って思います。
ですよね。だからこそ、インフィニティ国際学院を設立しました。
また、現場に足を運び
五感で感じないとわからないことってたくさんあるじゃないですか?
たとえば「貧困問題」って言葉は知っているけど、現地に行かないと見えてこない問題も多いわけですよ。
そういった現場体験に高校生のうちから触れておくことで、将来の学びに繋がっていくと思っております。旅にはいろいろな出会いがありますからね。
(聞けば聞くほど、インフィニティ国際学院さんのトリコになっちゃう)
通っている高校生が羨ましいです…
ちなみに、大谷さんっていつから教育業界に携われていらっしゃるんですか?
めっちゃくちゃユニークなキャリアをお持ちですよね!?
はい。自分でも、かなり珍しいキャリアだと思います笑
僕は、終戦から15年後に生まれていまして
まさに昭和型の学歴社会、終身雇用の時代なんですね。
共通テストは僕の代が一期生ですし。
今や、「起業」や「フリーランス」なんてよく言われていますが
当時は「社長ってなれるものじゃなく、親から継ぐもの」だったんです。
そんな時代に、会社を独立して社長をしているような人間でしたね。
ええええ!!!
そんな時代に起業ってすごくハードル高そうですね…
学生時代から優秀だったんじゃないですか??
学生時代はアルバイトばかりしていて、平凡な人間でした。
就職後も、どこにでもいるようなサラリーマンでしたね。
仕事は大っ嫌いでしたし…笑
でも、バブル崩壊をきっかけに色々変わり始めまして….
(大谷さんが、平凡な大学生!?)
(仕事嫌いなサラリーマン!?)
今の雰囲気からは、全く想像できないです..笑
まず、バブル後にフジテレビの報道番組の制作スタッフになり
普通のサラリーマンから、ちょっと変わった体験をするフリーランスになりました。発展途上国や、戦場に取材しに行くような仕事をしていました。
そのあと、1995年にWindowsがでてきて
インターネットなんて一部の機械オタクしか触らないような時代だったんですが、
「これは世の中ひっくり返るんじゃないか」と予感したんです。
(その可能性を信じ)テレビ局に働きながら、webリサーチアンケートシステムを開発するようになったんです。
で、たまたまシリンコンバレーに行く機会があって
「世界がすごいことになっている」と気づいたんです。
また、スタンフォード大学に行くと
学生がビジネスコンテストでピッチイベントをしていて、そこにベンチャーキャピタルが来て投資をしているんですよ。「これは一体なんだ!?」と驚愕しましたね。
そこでふと、自分のやっていることを見直すと「あれ?これもベンチャーじゃない?」とやっと気づいたんです。
あとから気づかれたんですね!!
そうなんです。
なので、「いっちょやってやるぜ!」と旗揚げしたわけではなく、気がついたらやっていたことがあったので「これをビジネスにしたらいけるのでは?」と思い、インフォプラントという会社を立ち上げました。
この出来事がきっかけで、人生がガラッと変わりました。
アナログからデジタルに変わりましたし、
給料をもらう側から、自分で稼いでいく側に変わりました。
そこで、「運命って変えていいんだ」ってことに気づいたんです。
それ以前の僕は悲観論者で、
「大学も二流大学だし、そこでも学力下の方だし…」とか
「田舎出身だし…」「どうせただのサラリーマンだし…」
なんてことばかり思っていたんです。
自分の人生って一本のレールがあり、それに従って生きていくだけだと思っていたんですが、「人生(運命)って変えていいんだ」ってことに、シリコンバレーでの体験を経て知ることができたんです。
めっちゃ素敵です!!!
(実際に自身で切り拓いて行かれたからこそ、言葉の説得力がすごい)
3人で始めた会社だったんですが、あれよあれよと成長していき
500人くらいまで従業員が増えていったんです。
上場も視野に入れていたんですが、
「なんか違うな..」と思っていたんです。
そんな時にYahooの井上さんに相談すると、「だったらうちが買ってあげるよ」って言っていただき、事業売却に至りました。
すごい…(言葉を失いました)
売却後は、ネットのビジネスだし、東京の家賃はもったいないからと
地元の青森県八戸(はちのへ)に事務所を構えることにしたんです。
そこで事業をつくっていき採用をしていると、大学側との関係が増えていったんですが、そこからですね。教育の方に足を踏み入れるようになったのは。
そこからは、大学の客員教授をしたり、学長補佐などをしていました。
そこから教育業界に行かれたんですね!
(めっちゃ濃い人生や…)
そのあとも、地方の大学は定員割れしているところが多かったので
「なんとかV字回復させてくれないか!」と依頼を受け、大学の学長を6年間勤めました。
無事、V字回復を実現できたので
「役目を果たした」と思い、学長を退任しました。
すごすぎませんか??
(さっきから驚きの連発に言葉が出てこないです)
退任後は、
「サーファーにでもなり、のんびり過ごそうかな〜」なんて思っていたんですが
やり残した感が、あったんです。
(大谷さんがやり残したこと。なんだろう。)
それは、日本の大学生が
就職など、あまりにも目の前のことしか考えていないことです。
大学(や学部)を選ぶのも偏差値で選んだり
「就職に有利だから〜」とかそんなちっちゃなことで人生を選んでいる。
「それでいいの??」って疑問があったんです。
そこからは、日本の大学のレベルや
他国から見た日本の教育の現状など色々データを調べていたんです。
そこでは、あまりにも「日本の教育がひどい」ってことばかり、データが出てくるわけですから「これはあかんわ」と思ったんです…
これを大学から変えるのは無理(手遅れ)だから、
高校から生徒のマインドを変えていかないと日本が滅びると思ったんです。
なので、インフィニティ国際学院を設立しました。
なるほど!!
そんな背景があったんですね!
そういった背景から、日本の高校生から変えていかないと
(先ほどおっしゃっていたような)
変化に弱い人材や、伸びないGDPのお話に繋がってくるわけですね。
これからの教育について
インフィニティ国際学院さん設立に至るまでのお話、とても胸が熱くなりました。
ちなみに、今後はどういう展望があられるんですか??
今は、高等教育を展開していますが
これを2022年春に、小中高一貫の学校へ拡大する予定です。
えええ!!!!
高校だけでもとても魅力的だと思っていたんですが、
小学校や中学校まで併設されるんですか!!!
より、「10年後の世界を変えていくリーダー」を輩出していくためには
教育業界全体を変えていく必要があるので、初等部中等部も併設予定です。
それらをさらに
英語を学べる保育園(インターナショナルスクール)と提携させます。
そうすることで
一貫した考え方と、一貫した最先端の学びを実現していきます。
めっちゃいいですね!!!
そうすると、僕の理想が完成します。
幼児教育では「嘘をつかない」とか「約束守る」など倫理観を形成し、
英語に触れていくことで耳が英語に慣れていきます。
初等部中等部からは、基礎学力を高め
中国語も教えようと思っています。
なので、インフィニティ初等部中等部では基礎学力に加えマルチリンガル、プログラミングは習得できます。また、中学からは(今のインフィニティ高等部と同じように)海外に行けるように考えています。
あとは、イエナプラン教育を取り入れ
学年の壁をなくし、チーム制にしようと思います。
ワクワクしますね!!
「こんな学校あったらいいな」がまさに実現されています!
(僕は子供ができたら通わせることに決めました。)
自ら学べる仕組みを整えることで、生徒たちに「挑戦する権利と失敗する自由」を提供していきたいですね。
僕は「子供たちの可能性を無限大に広げてあげたい」と考えています。
そのためには、失敗することを許してあげる環境が必要だと思っています。
今回の学校設立を通じて、子供たちに「失敗していいんだよ」と言える環境づくりをしていけたらと思っています。
「挑戦する権利と失敗する自由」とても素敵です!!
大谷さんのお取組は、まさに子供たちの可能性を無限大に広げていかれると感じました。
それにしても2022年の春って、あと1年くらいですね。とてもワクワクします。
今回の記事で
私自身、未来の教育業界に希望がより見えました!
また、「運命は変えていいんだ」
というお言葉に救われる人も多かったと思います。
大谷さん、本日はどうもありがとうございました。
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この記事を書いている人:
岡内 大晟(おかうち たいせい)
大阪生まれ。高等学校教諭一種免許取得。
教育実習にて、社会に出るための勉強を教えるはずの自分(教師)が、全く社会のことを知らないことに葛藤を覚え、サラリーマンの道へ。
400人以上の経営者へのインタビューを経験し、『型にハマらない』行動や選択をしている人が社会で大成していることを実感し、『可能性を伸ばす教育』を高校生に提供することを自身のミッションにする。
その後、高校生を対象にAO入試専門塾の校舎長として進路指導に従事。 全国の高校で講演活動も行う。 その傍ら、インタビュアとして2社。編集長として1社のオウンドメディアの立ち上げに従事。 <取材・文・編集=岡内大晟@okauchi_kyoiku>
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